逃げずに向き合い続けた射撃人生
本日のBeyondは初登場射撃部の松岡実花さんです。射撃部初の一般受験入学の女子で主将を務める松岡さん。「他人には優しく自分には厳しく」そんな言葉が正に当てはまる彼女。優しく強い、今の彼女になるまでには、逃げずに自分と向き合った大学での射撃人生がありました。
メンタル強化のために始めた射撃
高校までは決して体育会系ではなかったが、大学では社会に出る前に、「自分の弱いメンタルを鍛えたい」そう思って運動部に入りたいと思っていた。中でも精神力勝負の競技である射撃が最適だと考え、入部を決めた。
入部当初は困難の連続だった。射撃を甘く見ていたわけではないが、いざ始めてみると想像以上に難しい競技だった。練習してもなかなか思うようにいかず、自分との格闘の日々が続いた。
それでも、上手くいった時も、思うようにいかなかった時もひたすら自分に問いかけた。「なぜできなかったのか」「何が原因だったのか」「どうすればできるようになるのか」「自分の精神状態はどうだったか」やりっぱなしはせずに、辛くてもどんな結果もしっかり受け止めて、分析した。
入部してから半年過ぎ、遂にその行いが功を奏した。1回生の11月、全日本をかけた予選大会を通過し、見事全日本の切符を獲得した。それまでに質の高い練習を積んでいた事実はあっても、自分にどこか自信を持てずにいた。そんな中で迎えた大会での大記録は彼女にとって青天の霹靂ともいえる結果だった。
その大会をきっかけに、今までの努力が、結果で証明されたことで大きな自信をつけた。「今までやっていたことは間違っていなかったのか」そう思って強くなれた。それまでは、やっていても先が見えない暗闇を走っているような、漠然とした不安があったが、やること1つ1つに自信が伴うようになり、気持ちに変化が表れ始めた。
とにかく自分と向き合い続けた4年間
真面目で、努力家の彼女は、たった1回の結果に満足することはなかった。自信を身に付けた彼女は更に強くたくましくなっていった。時が経ち成長しても、初心を忘れずに、どんな時も自分と向き合い続けた。向き合い続ける度、発見をし続けた彼女の3年間の成長は、計り知れないものだった。その成長を謙虚な彼女自身こそは気づかなかったが、周りはその姿をしっかり見ていた。
ひたむきに練習に取り組み努力する姿は、他の部員にも大きな影響を与えていたのだろう。チーム内での話し合いの結果、主将に選出された。後に聞けば、一般受験で入学した女子の主将は、射撃部初だったという。
主将として迎えた最終学年
それまでは、ひたすら自分に向き合い自分の成長に懸ければ良かった。しかし、主将となれば、加えてチームの成長も見据えなければならない。
新学期早々は、コロナの中で練習ができなかったことにより、部員内でのモチベーションの格差が生じた。正直、起こることが当然とも言わざるおえない事態ではある。しかし、彼女の主将としての強い責任感をもってして、その状況を見過ごせるわけがない。 「自分だけが良ければそれでいい」は彼女にはもっての外だ。
思うように練習ができない中で、部員全員の士気を高め、同じ方向に向かせることは、なかなか難しい。さすがの彼女も悪戦苦闘の日々だ。正直彼女自身は強いので、弱っている仲間にきつい一言を言い放ってしまいたくなることもあるかもしれない。それでもしっかり1人1人の様子を見て寄り添える。決して諦めず、前向きになれないメンバーにもアプローチを続けるその姿勢は主将そのものだ。
仲間に伝えたいこと
入部から今まで、失敗も成功もたくさん経験し、その度、自分に向き合ってきた。そして惜しまず努力をし、着実に力をつけてきた。「努力は報われる」ということを自らで実証し、身をもって感じたこと、これを仲間にもしっかり伝えたい。よく聞く言葉かもしれない、それでも、彼女の言う「努力は絶対報われる」その言葉は、力強く、より一層重みがあった。だからこそ、落ち込んだり、辛い思いをしたりしている仲間の気持ちに寄り添い、真摯に相談にのり、前を向かせてあげられる。彼女のこの言葉に救われた仲間はきっといるに違いない。とにかく自分と向き合い続けた3年半、その積み重ねは、自分だけでなく、思い悩む仲間のためにもなったのだ。
主将として、一選手として、ラストスパート
コロナにより一部大会は中止になったが、幸い、全国につながる大会は開催予定だ。
選手として、全国大会に出場するために練習に打ち込む傍ら、主将としてチームを推し進める。
最後の年となればチームへの想い、射撃への想いもひとしお。情熱的かつ冷静に彼女のラストスパートは着々と加速する。
様々な想いを背負い胸いっぱいで、学生最後の青春ロードを颯爽とそして力強く駆けぬける。
射撃部が気になった方は是非観戦に行ってみてください!
試合日程配信アカウントは以下のURLから
インタビュアー:産業社会学部・スポーツ社会専攻・2回生・市川菜々香