負けず嫌いの実力者
井本萌花
本日のBeyondは女子ラクロス部4回生の井本萌花さんです。まっすぐな心の持ち主の彼女は、ラクロスにも真剣に向き合ってきました。その姿を見ると、憎めない、応援したくなる選手。そんな彼女の心うちには、強い志がありました。
ラクロスと出会って
小学生から高校までバスケを続けていた井本さんだったが、 『大学ではバスケだけに拘束されたくない』と思い、新たなスポーツに挑戦することにした。やるならストイックに体育会の部活に入りたかった。姉に勧めでラクロスの試合を見に行ったら、その魅力に引き込まれた。入部は即決、大学ではラクロスをやると決めた。
始めてすぐは、やったことの成果が出やすく、成長も感じられた。だから、ラクロスが楽しくて仕方がなかった。授業で部活に参加できなくても、その穴を埋めるために寸暇を惜しんで場所を見つけては、自主練習をした。
1回生の後期になると、1回生大会などで経験も少しずつ積み、実力をつけていった。
写真提供:立命スポーツ編集局(https://twitter.com/ritsumeisports)
抜け出せないどん底
基盤ができて、レギュラーが見えてきた、2回生。彼女のセンスに努力が磨きをかけ、その実力はどんどん伸びていった。2回生ながら公式戦でのレギュラー出場を果たし、また更にラクロスの楽しさを覚えていった。軌道に乗り出した2回生だったが、チームは思わぬ事態を迎えた。例年通り関西制覇を掲げていた、その年。リーグ戦で思うように試合が運べない、なかなか勝てない。そう思っているうちに、入れ替え戦という2部降格の危機に立たされていた。チームの軌道修正ができないまま、入れ替え戦に負け、まさかの1部落ちとなった。信じがたい状況にチーム全体によどんだ空気が流れていた。
去年の悔しさを胸に、一部奪還を掲げて迎えた3回生。2部に降格したことはとてつもない屈辱だった。でもチームとして特別変わったことはなかった。いつもの練習、いつもの雰囲気。『負けたのなら、何かを変えて、ライバルに勝る何かをしないといけない。もっとやらないといけないことはないか。』そう思っていた。でも変えられなかった。変わらなかった。それでいて、チームも1部奪還をできる絶対的な自信を持っていなかった。結果は嘘をついてくれなかった。自信のなさが裏目に出て、試合にも勝てず、またも2部残留となった。
最後の年、ゴールへの道のりはいかに
いよいよ最後の年、4回生を迎えた。『2年連続で味わった屈辱を今年こそ!』そう意気込んでいた。しかし、環境がなかなか味方をしてくれず、コロナにより、入れ替え戦は中止となった。1部奪還の目標は果たせない、でも『最高の形で終わりたい!』チームは目標を“2部圧勝”切り替えた。
コロナでなかなか動きがない中でも個人的な、気持ちの変化はあったという。
4回生を前にした練習のある日、実力のランク付けをする、チーム内投票が行われた。そこで1番に選ばれたのは井本さんだった。本人にとっては予想外の結果で純粋に嬉しかった。でも、コロナ期間中、色々考えて単純に嬉しいだけではいれないことに気づいた。一番に選ばれたということは、周りからは期待されている、頼りにされているということ。それを背負うプレッシャーも感じるようになったが、同時に自分の立ち位置が分かり、責任感も生まれた。
大学ラクロス生活の集大成を迎え、これまでを振り返ってみると、早い時期からレギュラーで試合に出て、大きな挫折もなかった。周りからの妬みはあったかもしれない。
でも、一つ自信をもっていえることがある。
それは、“誰よりもクロスを一番もっていた”ということ。
今や部内で誰もが認める実力No.1の選手。でもその力を裏付けるものはしっかりあった。
穏やかな雰囲気で、感情はあまり外に出さないから、周囲からは「ふわふわ」しているとよく言われる。
ラクロス部は「スイッチが入り、本気になれる場所」と言う彼女、ラクロスとなれば一変する。ふわふわして見えても、心の内はしっかりしている。良心が強くて、授業はさぼれないような真面目。そして、大の負けず嫌い。『どんなに小さなことでも負けたくない!勝つために人よりやらないなんてありえない。』
同期が自分より前にいるだなんて悔しくてたまらなかった、だから誰よりもクロスをもって練習してきた。時には、落ち込むことも、悩むこともあった。でも、馬鹿が付くほど正直で、素直で、決めたことには、くよくよせずにまっすぐ突っ走ってきた。
コロナによる障壁も多く、思うように突っ走れない今。
当たり前が覆り、変化しつつある状況にどう対応して、”最高の形”を迎えるか。ピンチの今こそ本当の力が試されるときかもしれない。
それでも、『大丈夫!井本さんなら。』そう信じて応援したくなる、心意気が彼女にはあった。
井本さんなら、どんな状況でも持前の素直な心があれば、まっすぐ前を向いて走り切るに違いない。
最後の年、何があろうと、彼女自身が思う“最高の形”で終わることを切に願う。
インタビュアー:産業社会学部2回生 市川菜々香
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