Beyond


2020

Vol.36 剣道部 4回生 上村政紘

笑顔の裏に

本日のBeyondは、男子剣道部主務4回生の上村政紘選手です。明るく剣道について語る彼の笑顔にも辛い挫折がありました。それを乗り越え今を満喫する彼には、様々な経験と想いがありました。



順風満帆からの挫折

剣道を始めた理由は、メジャーなスポーツではなく、人と違うことをしたかった、ただそれだけだった。しかし、いざ始めてみると、楽しくて楽しくてどんどんはまっていった。小学3年生から始めて、中学までは、やった分だけ成長が実感できて結果もついてきた。まさに順風満帆の剣道生活だった。

当たり前のごとく、剣道を高校でも続けた。高校は、強い選手が集う私立を、「名もない公立が倒したい」という思いから、敢えて剣道が盛んではない高校を選んだ。高校では、朝練して、授業で寝て、また部活して、帰ったらご飯食べて寝るだけ、という剣道に明け暮れる生活を送った。しかし、「高校は全てが挫折だった」と当時を振り返る。順風満帆だった中学時代からは一転、なかなか勝てず思い悩んだこともあった。その最中、不運にも、ふくらはぎの大けがをした。その状況に焦って、怪我をしっかり治すことを怠った結果、今度はアキレス腱を損傷し、度重なる怪我に苦しめられた。2度の怪我を経て、剣道のスタイルを変えることを決意。しかし、長年で身に付いた自分のスタイルを変えることはそう簡単ではなかった。それでも、自分の剣道人生を長い目で見たら、ここでスタイルを変えることが絶対に必要、そう思ってとにかく意識をした。その道のりは長期ではあったが、新たなスタイルが確立された後は、実際にけがもしなくなった。

怪我が完治し、新たなスタイルもできて、準備万端で迎えた最後の夏。しかし、結果は個人団体共に満足できるものではなかった。1年前、代表者戦で負けた屈辱を果たすべく挑んだ団体戦では1回戦負け、インターハイを狙った個人では30分の延長戦の末、誤審によって負けを喫した。すっきりしない終わり方で、引退後も未練を打ち切れず、秋まで部活を続けた。とは言えさすがに受験も考えなければならないと、10月から猛勉強を始め驚異の追い上げで立命館に一般入学した。



大学での出会い

「高校での悔しさを晴らさないわけにはいかない。」そう思って大学でも剣道を続けた。強い選手が集う環境で、正直最初は、劣等感も感じた。選手として公式戦に出場することはなかなか難しい。それでも「大学の剣道は高校での剣道より充実している。」そう胸を張って言える。高校まではチーム内で自分が1番強かったから、自分の成長に限界を感じていた。一方で、大学では常に強い選手と練習できる環境があり、自分の成長を日々実感できるという。



なるべくして辿り着いた主務

入部当初から、高校での「剣道だけやっていてはいけない」という教訓を基に、剣道以外での仕事も積極的に引き受けた。その姿勢が買われて、4回生の今は主務を務めている。

決して楽ではない役職ではあるが、自分に向いていると思うし、もちろん学びも多い。

サポート役でありながら、部を引っ張って行くという難しい立ち回りだが、やっていく経験の中でやっていてよかったと気が付けた。主務として任務を遂行していく上で特に3つのことを意識している。1つ目は、よく考えること。2つ目は、コミュニケーションをとること。3つ目は動きは早くすること。一般学生もスポーツ推薦の学生も様々な学生がいて、多様性にあふれる剣道部で、皆のモチベーションを上げて同じベクトルに向かせるため、また外部への剣道部の印象を悪くしないために自分なりに考えた。常にこの3つは意識していることで大切にしている。その姿勢がチームにも伝わっていたのだろうか、自粛期間中に多くの部員が言わずとも、様々なことについて考えるようになり、1周り大きくなったことに大きな喜びを感じることができた。



剣道部の存在と上村さんのこれから

上村さんにとって剣道部とは「剣道以外のことを考えさせてくれる存在」であり「大学生活を語る上で抜くことのできない存在」。高校までの剣道漬けの生活から一変、大学では同じ剣道部にいるにしても、剣道以外の様々なことに目を向けてきた。その行動があってこそ、剣道以外のことを考えさせてくれる剣道部だと気づけた。大学生活の全てが詰まった剣道部。大学生活を剣道部なしでは語れない。


卒業後は、社会を底から支えるリーダーということから、主務の仕事に共通点を感じ、建築会社を就職先に選んだ。これまでの剣道を通した様々な経験が、社会でも活かされるだろう。主務として競技者として集大成を迎えると同時に、社会へ出る準備も着々進める上村さん。辛い過去も大変なことも、笑顔で語り、今主務を全うする彼は、とても生き生きしていてかっこよかった。



剣道部が気になった方は是非観戦に行ってみてください!

試合日程配信アカウントは以下のURLから

https://lin.ee/8vzo3P6



インタビュアー:産業社会学部・スポーツ社会専攻・2回生・市川菜々香

コメント
名前

内容